2018年8月6日月曜日

Reducing Creme

監督:アブ・アイワークス
公開日:1934年5月19日
評価点:★7

コミカルな動きがとにかく楽しい一作


『カエルのフリップ』に次ぎアイワークス・スタジオが製作した『ウィリー・ホッパー』第9作。作画は『Talkartoon』時代のフライシャーで頭角を現したグリム・ナトウィック、バーナード・ウルフの二人。この二人はフライシャー時代に培ったニューヨーク流の軽快な作画スタイルが特徴だったのだが、本作でもそんな魅力が遺憾なく発揮されている。

『痩せクリーム』をマリーに勧められたウィリー。彼はクリームにまつわる災難の話を始める。ある日、ウィリーはネズミをいじめている猫に気付かず猫のシッポを踏んづけてしまう。怒った猫はウィリーに『痩せクリーム』をかけてしまう。すると、みるみるうちにウィリーの体は縮まっていき、ネズミ程の大きさになってしまった。猫に散々にあしらわれてしまうウィリーだったが、なんとか逃げ出し厨房へたどり着く。
厨房では、男がパンを作りながら太った女とイチャイチャ。ウィリーは後を追って来た猫から必死に逃げるが、太った女の服の中にすっぽりと入ってしまう。猫はパン作りの男の服の中に入ってしまい、男と女の2人は軽快なダンスを踊り始める。
服の中から逃げ出した猫とウィリーは、またまた追いかけっこ。そんな時ウィリーは床に落ちていたイースト菌のブロックを発見、食べてみるとみるみるうちに体が膨らんで元の大きさに戻ってしまった。ウィリーはここぞとばかりに、今度は猫に痩せクリームをかけてやると、猫はネズミと同じ大きさになってしまい、それを見て喜んだネズミは仕返しに猫の目を殴りつけるのだった。

内容自体はよくあるドタバタギャグなのだが、特筆すべきなのは作画である。
この時期のアイワークス・スタジオにはナトウィックやバーナードを始めとするフライシャーから移籍したスタッフが多数在籍しており、代表者であるアブの作風にフライシャー組の都会的なエッセンスが加わったことで、作品は独特の雰囲気を放っていた。
シュールなキャラクター造形、無軌道でドタバタしたストーリー展開、そして時に粗削りだがいつも軽快な作画、活気に満ちた音楽。これらが当時のスタジオの特徴だった。
この作品では、太った女とパン作りの男がダンスを踊るシーンがフィーチャーされる。このシーンにおけるキャラクターの動きが、まぁ格別なのだ。軽快で、リズミカルで、とにかく愉快!
『カエルのフリップ』や『コミカラー』でもダンスシーンは散見されるのだが、こうしたダンスシーンはまさしくフライシャー的でとても楽しい。
それ以外のシーンでも、ウィリーが縮む時の演出など、このシリーズの中ではトップクラスと言って良いほどの良質な作画や演出が目白押しである。一見の価値があるだろう。



※収録DVD:Ub Iwerks' Willie Whopper

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