2018年7月6日金曜日

Dumb-Hounded(つかまるのはごめん)

監督:テックス・アヴェリー
公開日:1943年3月20日
評価:★7

逃走劇が楽しい『ドルーピー』第一作


ワーナーでバッグス・バニーやダフィー・ダックといった数々のスター達に命を吹き込んできたテックス・アヴェリーが、MGMに移籍後初めて産み出したスター「ドル―ピー」が主演を務める初の作品である。
ウォルター・ランツのスタジオで頭角を現し、ワーナー時代『メリー・メロディーズ』でその個性を爆発させたアヴェリーだったが、1942年にMGMに移籍するや否や、カートゥーン史上類を見ない爆発的に面白い傑作群を次々と産み出した。この作品は、そんな彼の素晴らしい伝説の幕開けとなった作品と言えるだろう。

刑務所から脱獄したオオカミを警察犬が追いかける。その中でもひと際のんびりとしたテンポで犯人を捜すのはドル―ピー。オオカミはアパート、森の小屋、ハリウッド、そして果ては南極へと逃げ回るが、どこに行っても『なぜか』ドル―ピーが彼を待ち構えていた。追い詰められたオオカミは、ついに高層ビルの屋上から飛び降り自殺…と見せかけ華麗に着地。そのまま逃げようと歩き出した途端、ドル―ピーがビルの屋上から落とした巨大な岩に潰されとうとう捕まってしまった。大手柄を打ち立てたドル―ピーはお偉方から褒美として札束をもらうが、途端に先程までの態度が嘘だったかのようにはしゃぎ回り、一言『ぼくは幸せだ』と言い残すのだった。

逃げ回る余りフィルムから飛び出してしまう、落下するオオカミを葬儀屋が取り調べる、元いたすみかに舞い戻る時は『フィルムの逆再生』を用いるといった傑作なギャグもいくつかあるが、この作品の魅力は、やはり待ち構えているドル―ピーを見た時のオオカミの驚くリアクションの面白さに尽きる。
その驚きようときたら、目は飛び出し服は脱げ舌は飛び出しと大変な騒ぎ。テックス・アヴェリー節全開である。

と、もちろん面白い作品なのだが、初期作品という事もあってか彼特有の魅力がまだ充分に発揮されていないのが残念。テンポやタイミング、そして作品の肝となるキャラクターのリアクションが、後年の作品群と比べてまだまだマトモなのだ。
3年後にリメイク版である『迷探偵ドルーピーの大追跡(Northwest Hounded Police)』が公開されるが、こちらの方がギャグの面でも狂気度の面でも数段パワーアップしていて面白い。(ことさら顔芸の面白さが最高)



収録DVD:Tex Avery's Droopy: The Complete Theatrical Collection

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