2018年7月8日日曜日

The Shooting of Dan McGoo(アラスカの拳銃使い)

監督:テックス・アヴェリー
公開日:1945年4月14日
評価:★8

アラスカで繰り広げられる過激なギャグの数々


ドル―ピーが出演する2番目の作品。とはいっても前作『つかまるのはごめん(Dumb-Hounded)』から約2年のブランクを経ての公開であり、この間にアヴェリーの作風は更に過激に、そして破天荒になっている。この作品も、オオカミの狂気じみたリアクションや洒落の効いたギャグが満載、そして何より美女のセクシーさがいかにも全盛期のアヴェリーらしい一作である。
作画はディズニー出身の敏腕アニメーターエド・ラヴ、アヴェリーと同じくウォルター・ランツ出身のレイ・エイブラムス、そしてプレストン・ブレアの3人。特にブレアは、『おかしな赤頭巾(Red Hot Riding Hood)』を彷彿とさせる美女の色気ムンムンのダンスシーンを担当しており、特筆すべきである。

極寒の地・アラスカにある酒場『マラミュート・サルーン』は、無法者たちが酒浸りになりながら撃ち合いを繰り返す無法地帯と化していた。そんな酒場に突如オオカミが現れ、お客たちを脅かす。美女ルーのダンスにオオカミはメロメロ、その興奮の仕方ときたら椅子をぶん投げるわ目が飛び出るわと大変な騒ぎ。興奮極まったオオカミは美女を誘拐する事にしたのだが、そこへ現れたのはドル―ピー演じる「早撃ちマグ―」。激闘の末見事オオカミを退治したドル―ピーだったが、美女にキスされると彼もたちまちオオカミのように激しく興奮し、最後はお馴染みの『ぼかぁ幸せだ』を言い放つのだった。

この時期(1945ー48年頃)のアヴェリー作品はまさに絶頂期に差し掛かっており、過激なギャグ、時折挟まれる楽屋オチ的なネタ、キャラクターのオーバーなリアクション、そして作品全体に満ち満ちている狂気、どれをとっても完成度が高いのだ。その強烈なテンポの良さは、ある種のカタルシスすら覚える。(もっとも、アヴェリーも50年代になると作風がガラリと変わり、UPAを彷彿とさせるシニカルな作風へと転向するのだが…)
この作品も、狂気度は薄いが例外ではない。特に美女のセクシーなアニメーション、そしてそれに興奮するオオカミのリアクションぶりは抱腹絶倒ものである。もはや芸術作品の域。最高。



収録DVD:Tex Avery's Droopy: The Complete Theatrical Collection

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