公開日:1928年9月1日
評価:★3
「蒸気船ウィリー」よりも早く公開されたトーキー作品
1920年代を通じて制作され続けた、サイレント期におけるポール・テリーを代表するシリーズ『Aesop's fables』。このお世辞にも出来が良いとは言えない短編は同シリーズ初となるトーキー作品で、RCAが開発したフォトフォン方式を用いて制作されている。
特筆すべきなのは、この作品があの『蒸気船ウィリー』よりも約二か月前に公開されたという点である。1920年代中盤にフライシャー兄弟が『ココ・ソング・カーチューン』という小唄漫画シリーズをトーキー(ド・フォレストが開発したフォノフィルム方式)で製作していたものの、ストーリーを主体としたトーキーアニメ―ションとしては恐らくこの作品が初めてだと思われる。
ストーリーは一貫しておらず、冒頭では猫が鳥を捕まえようとして失敗するギャグが描かれ、中盤では骨を埋めようとした子犬が他の犬に骨を取られてしまう様子が描かれる。後半は肉屋を営むアルファルファじいさんと肉を奪おうとする野良犬たち、そして野犬収容所が織りなすドタバタ劇である。とにかくギャグの繋がりが乏しく、あらすじを説明するのが難しい作品。唯一面白いのは、猫が電線から落ちた時に9つの幽霊が現れ、失神から目が覚めた猫が飛び出した霊を取り戻すというギャグ。
作画は典型的なヴァン・ビューレン版「Aesop's fables」のスタイルである。ポール・テリーが監督してはいるが、以前ポールが監督していた「Aesop's fables」や後のテリー・トゥーンの作風とは少し毛色が異なるため、恐らくこの作品は共同監督であるジョン・フォスター主導で製作されたのではないだろうか。あまり上手いとは言えない。
目玉であるサウンドトラックだが、こちらも出来は良くない。サウンドと映像が同期している…というよりも、サイレント作品に変な効果音や叫び声を追加しただけのような感じ。
「蒸気船ウィリー」のサウンド化を検討していたウォルト・ディズニーもRCAに赴きこの作品を見ているが、「どたばたばかりで何もない」と評していたという。※
効果音製作を担当したマックス・マンネは他にフライシャーの「トーカートゥーン」最初期の音響監督としてその名前を確認できるのだが、「トーカートゥーン」の方も出来は余り良くないと来ているから困ったものである。一体何者なんだ。
特筆すべきなのは、この作品があの『蒸気船ウィリー』よりも約二か月前に公開されたという点である。1920年代中盤にフライシャー兄弟が『ココ・ソング・カーチューン』という小唄漫画シリーズをトーキー(ド・フォレストが開発したフォノフィルム方式)で製作していたものの、ストーリーを主体としたトーキーアニメ―ションとしては恐らくこの作品が初めてだと思われる。
ストーリーは一貫しておらず、冒頭では猫が鳥を捕まえようとして失敗するギャグが描かれ、中盤では骨を埋めようとした子犬が他の犬に骨を取られてしまう様子が描かれる。後半は肉屋を営むアルファルファじいさんと肉を奪おうとする野良犬たち、そして野犬収容所が織りなすドタバタ劇である。とにかくギャグの繋がりが乏しく、あらすじを説明するのが難しい作品。唯一面白いのは、猫が電線から落ちた時に9つの幽霊が現れ、失神から目が覚めた猫が飛び出した霊を取り戻すというギャグ。
作画は典型的なヴァン・ビューレン版「Aesop's fables」のスタイルである。ポール・テリーが監督してはいるが、以前ポールが監督していた「Aesop's fables」や後のテリー・トゥーンの作風とは少し毛色が異なるため、恐らくこの作品は共同監督であるジョン・フォスター主導で製作されたのではないだろうか。あまり上手いとは言えない。
目玉であるサウンドトラックだが、こちらも出来は良くない。サウンドと映像が同期している…というよりも、サイレント作品に変な効果音や叫び声を追加しただけのような感じ。
「蒸気船ウィリー」のサウンド化を検討していたウォルト・ディズニーもRCAに赴きこの作品を見ているが、「どたばたばかりで何もない」と評していたという。※
効果音製作を担当したマックス・マンネは他にフライシャーの「トーカートゥーン」最初期の音響監督としてその名前を確認できるのだが、「トーカートゥーン」の方も出来は余り良くないと来ているから困ったものである。一体何者なんだ。
※細馬宏通(2013)『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』新潮社
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