2018年4月10日火曜日

Woodland Café(森の音楽会)

監督:ウィルフレッド・ジャクソン
公開日:1937年3月13日
評価点:★7

虫たちが繰り広げる熱いジャズ・セッション


シリー・シンフォニー第66作、シリーズの中でも後期にあたる作品だが、当時のディズニーとしては珍しく『ジャズ』を前面に押し出した作品となっている。
『虫が集うナイト・クラブ』というディズニーらしい舞台で繰り広げられる軽快なアニメーションは、独特な都会的センスを纏っているようで、異彩を放っている。

作品の舞台となるのはおしゃれな虫たちが集うナイト・クラブ。ビッグ・バンドの豪華爛漫な演奏をバックに、虫たちは老若男女問わず踊り狂う。
物語中盤で作品舞台がバンドからステージへと変わり、色気たっぷりのハエといかにもワルな蜘蛛による劇仕立てのダンスが繰り広げられる。色気に惑わされた蜘蛛はハエを追いかけまわすが、しまいにはハエがまんまと蜘蛛をやり込めてしまい、煙草を一服。ハリウッド女優顔負けの、なんともアダルトなシークエンスだ。

そして物語は終盤へと進み、舞台はステージから再びビッグ・バンドへと戻る。彼らの演奏はますます白熱し、お客はみんなフロアに集まってノリノリのスウィングを披露する。冒頭ではつまらなさそうにしていた老紳士までもが愉快にダンスを楽しみ、挙句の果てにはぶっ倒れて担架で運ばれてしまう始末。
往年のキャブ・キャロウェイを連想させるようなパワフルな歌声とスウィンギーな演奏が続くなか、クラブ内が熱狂の頂点に達した所で画面がアイリスアウトし、物語が終了する。

この作品の見どころは、やはり終盤の熱いセッションに尽きるように思える。軽快なスウィング『Everybody's Truckin』をバックに、素早いカット割り・煌びやかな美術設計・緻密な動画によって描き出される溌剌としたダンスシーンは、まさに職人技の賜物といえるだろう。一度観たらそのグルーヴ感に酔いしれる事は間違いなし。
シリ―・シンフォニーの数ある短編の中でも、楽しさではトップクラス。まさに一級品の娯楽作品だ。
(『森の音楽会』という邦題は、正直語感が内容にそぐわない気がしないでもないのだが…)



※収録DVD:シリー・シンフォニー 限定保存版 (初回限定) [DVD]

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