公開日:1934年1月6日
評価点:★6
ウィリーの奇妙な地獄めぐり
『ウィリー・ホッパー』第6作。基本的にこのシリーズはモノクロで撮影されていたのだが、この作品と『Davy Jones' Locker』の2作品のみ『シネカラー』という二色式のカラープロセスで撮影されている。…というのも発色の良い三色法テクニカラーは当時ディズニーが独占契約を結んでいたため使用できなかったのだ。
とはいえ、現存するネガでは三色法に負けないほど鮮やかな色彩がしっかり残っている。
さて、この作品はシネカラーの強みである赤の発色の良さを最大限に活用した作品となっている。というのも、真っ赤に燃え盛る『地獄の炎』を作品の主題にしたのだから面白い。
そのギラギラした色使いを用いた鮮やかなビジュアルは、今でも我々に強い衝撃を与えてくれる。
そのギラギラした色使いを用いた鮮やかなビジュアルは、今でも我々に強い衝撃を与えてくれる。
…だが肝心の内容はというと、これまたアイワークス・スタジオらしくストーリーの筋は皆無に等しい。ただただ無軌道でドタバタしたギャグのオンパレードである。この作品を楽しむには、酔っ払った地獄の住人や、ウィリーが出会う奇妙な化け物たちが織りなす刺激的なビジュアルを堪能する事に尽きるのではないだろうか。
歴史上の偉人や映画作品のパロディも続々登場し、お酒や悪魔に絡んだブラックなネタも随所に挟み込まれており楽しい。アニメーションの出来も少々野暮ったいものの水準レベルは維持しており、傑作ではないが7分間しっかり楽しむ事が出来る娯楽作品と言えるだろう。
また、この作品はその世界観や内容、ストーリーの共通点から、アブがディズニー時代に監督した『Hell's Bells』(邦題:地獄の悪魔退治、1929年)のリメイク作と取る事もできる。案外彼はネタの使い回しが多い。
※収録DVD:Ub Iwerks' Willie Whopper
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