公開日:1930年8月31日
評価:★8
評価:★8
伝統的なフォーク・ソングをフライシャー流にアニメ化
『Talkartoon』第9作となるこの作品では、前作『Dizzy Dishes』でスクリーンデビューしたベティ・ブープが再び登場する。前作ではのっぽな料理人を演じたビン坊だが、今回は少し背が縮んだデザインとなり、女たらしの水兵を演じる。
えげつない邦題が付けられた本作品であるが、原題はアメリカのドリンキング・ソング『船乗りバーナクル・ビル』(Barnacle Bill the Sailor)から取られている。物語はその小唄の歌詞をモチーフに展開していく…のだが、流石はフライシャー、なんともエロチックでシュールな短編に仕上がっており、今観ても爆笑必至のフライシャー・ワールドを堪能できる。
荒くれ者の船長を上手くやり込めて陸に上がった船乗りビル(ビン坊)は、アパートに住むナンシー・リー(ベティ)に会いに行く。物語や台詞回しは歌に沿って展開していき、ナンシーとビルのシュールなやり取りがしばらく続く。
この作品に登場するベティも、髪型こそ違えど前作と同様まだ犬としての特徴がかなり強く残っており、現在の彼女の姿に慣れた我々には少々どぎつく映ってしまうデザインである。
ナンシーとビルは、歌を歌い合いながらロマンスを繰り広げる…のだったが、なんとビルは大変な女たらしだった。実はナンシー以外にも何人もの女性と付き合いを持っており、行く港の先々で恋人を作っているというのだ。(この作品に『エロ行脚』という邦題が付けられる所以だろう)
だがもうすっかりビルに惚れてしまったナンシーは「帰らないで、また来て」と別れを惜しむのだが、ビルは「俺は船乗り、もう来ることはないさ。あばよ」などと歌いながらアパートを後にする。
ところがこの一連の様子を実は船長が見ていたのだから大変だ。突然雨が降り出し、嵐の中怒る船長、逃げるビル。終いにはビルは海へと真っ逆さまに落ちてしまい、いい気味だと船長は笑うのだったが…
なんと海の底はグラマーな人魚たちが真っ裸で踊りまくる楽園だった。ビルはもちろん大喜び。ノリに乗って踊るビルと人魚を映して物語は終わる。
…この作品、何回観ても爆笑してしまうんだよなあ。作品の元となった歌自体がかなりお下品な歌ではあるのだが、それをさらに過激に、シュール極まりないエロチックな作品として描ききったフライシャーの創造力には驚嘆するばかりだ。
作画もかなりノリノリで、メロディーに合わせて変幻自在に動くキャラクターは見ていて非常に愉快。メイン作画を担当したのはルディ・ザモラとシーモア・ネイテルだが、一部のシーンをグリム・ナトウィックがヘルプで担当している。彼らのスラップスティックなアニメ―トがこの作品の肝、と言っても過言ではないだろう。
万人に受ける作品ではないとは思うが、個人的には大好きな一篇である。こういう作品を観ていると、アニメは決して子どものためだけに作られていたわけでは元々なかった事がよくわかる。
(タイトルの元ネタであり、作品内のBGMとして用いられる『Barnacle Bill the Sailor』。動画は1930年にホーギー・カーマイケルが吹き込んだバージョン)えげつない邦題が付けられた本作品であるが、原題はアメリカのドリンキング・ソング『船乗りバーナクル・ビル』(Barnacle Bill the Sailor)から取られている。物語はその小唄の歌詞をモチーフに展開していく…のだが、流石はフライシャー、なんともエロチックでシュールな短編に仕上がっており、今観ても爆笑必至のフライシャー・ワールドを堪能できる。
荒くれ者の船長を上手くやり込めて陸に上がった船乗りビル(ビン坊)は、アパートに住むナンシー・リー(ベティ)に会いに行く。物語や台詞回しは歌に沿って展開していき、ナンシーとビルのシュールなやり取りがしばらく続く。
この作品に登場するベティも、髪型こそ違えど前作と同様まだ犬としての特徴がかなり強く残っており、現在の彼女の姿に慣れた我々には少々どぎつく映ってしまうデザインである。
ナンシーとビルは、歌を歌い合いながらロマンスを繰り広げる…のだったが、なんとビルは大変な女たらしだった。実はナンシー以外にも何人もの女性と付き合いを持っており、行く港の先々で恋人を作っているというのだ。(この作品に『エロ行脚』という邦題が付けられる所以だろう)
だがもうすっかりビルに惚れてしまったナンシーは「帰らないで、また来て」と別れを惜しむのだが、ビルは「俺は船乗り、もう来ることはないさ。あばよ」などと歌いながらアパートを後にする。
ところがこの一連の様子を実は船長が見ていたのだから大変だ。突然雨が降り出し、嵐の中怒る船長、逃げるビル。終いにはビルは海へと真っ逆さまに落ちてしまい、いい気味だと船長は笑うのだったが…
なんと海の底はグラマーな人魚たちが真っ裸で踊りまくる楽園だった。ビルはもちろん大喜び。ノリに乗って踊るビルと人魚を映して物語は終わる。
…この作品、何回観ても爆笑してしまうんだよなあ。作品の元となった歌自体がかなりお下品な歌ではあるのだが、それをさらに過激に、シュール極まりないエロチックな作品として描ききったフライシャーの創造力には驚嘆するばかりだ。
作画もかなりノリノリで、メロディーに合わせて変幻自在に動くキャラクターは見ていて非常に愉快。メイン作画を担当したのはルディ・ザモラとシーモア・ネイテルだが、一部のシーンをグリム・ナトウィックがヘルプで担当している。彼らのスラップスティックなアニメ―トがこの作品の肝、と言っても過言ではないだろう。
万人に受ける作品ではないとは思うが、個人的には大好きな一篇である。こういう作品を観ていると、アニメは決して子どものためだけに作られていたわけでは元々なかった事がよくわかる。
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