2018年2月10日土曜日

The Skeleton Dance(骸骨の踊り)

監督:ウォルト・ディズニー
公開日:1929年8月22日
評価点:★9


シンプルかつ緻密、アニメ史に残る不朽の名作


30年代のアニメ業界を震撼させ、商業アニメに数多くの革新をもたらした『シリー・シンフォニー』シリーズの記念すべき第一作であり、今なおその魅力が衰える事のない不朽の名作である。
まず作品は雷と共に大きな目が映るシーンから始まる。カメラが遠ざかると、それはフクロウだった事がわかる。この一連のシーンから、この作品の雰囲気、方向性がすぐに理解できる。次に二匹の黒猫が軽妙なやり取りを交わす。その時突如登場するのが、不気味な一人の骸骨。彼はカメラに向かって大きく飛び込む。この臨場感はそれまでのカートゥーンとは一線を画すものである。

そしていよいよこの作品の醍醐味でありアニメ史に残る名シーンでもある、『骸骨の踊り』が始まる。
このシーンではカール=ストーリングによる音楽とアブ=アイワークスが手がけたアニメーションが完璧に融合し、見事なまでに完璧な視覚効果を上げているのだ。
同時期に制作されたカートゥーンにおいて、怪奇趣味と音楽が融合した好例としては他にフライシャーの傑作『Swing You Sinners!』(1930)が挙げられるが、この作品ではさらに計算し尽くされた演出・作画となっている。コミカルかつ繊細なダンスやギャグが流れるように展開し、朝日が昇ると骸骨たちは自分の墓へと戻っていく。

この作品のストーリーは至って単純で、込み入ったギャグも壮大な作品設定も無く、骨組みは至ってシンプルである。だが、この『骸骨の踊り』はその音楽とアニメーションの融合の見事さ、計算し尽くされた作画と演出において同時期における他社の作品群を圧倒している。そして、現在でも衰える事のない輝きを放ち続けているのだ。

この作品は、当時のディズニーのキーパーソンであり、後に自身のスタジオを立ち上げる事となるアブ=アイワークスがほぼ一人で作画したといわれている。彼は後にコロムビアで『Skeleton Frolics』(1937)という本作のリメイク版を監督するが、この作品の持つ魅力には敵わなかった。


※収録DVD:シリー・シンフォニー 限定保存版 (初回限定) [DVD]

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