公開日:1953年4月17日
評価点:★5
日動が制作した幻のPR映画
2017年11月26日に『神戸発掘映画祭』にて上映された後、18年2月4日に『発掘された映画たち2018』にて改めて上映された実写併用のPRアニメ作品。26分ものの中篇である。
この作品は、まず53年当時としては異例のカラーフィルムでの制作となっている。(用いられたプロセスはフジカラー・ニュータイプとの事)
また、後に東映動画の源流となる日動映画がアニメ制作を担当し、作画には若き日の古沢日出夫や森康二、音楽はクラシック界の重鎮である服部正がそれぞれ担当していたという豪華っぷり。電電公社がスポンサーを担当した、電話のマナーを説くPR映画である。
この作品は、まず53年当時としては異例のカラーフィルムでの制作となっている。(用いられたプロセスはフジカラー・ニュータイプとの事)
また、後に東映動画の源流となる日動映画がアニメ制作を担当し、作画には若き日の古沢日出夫や森康二、音楽はクラシック界の重鎮である服部正がそれぞれ担当していたという豪華っぷり。電電公社がスポンサーを担当した、電話のマナーを説くPR映画である。
《内容解説》
ある小人の国に電話が流れつく。これを小人の国の大臣達が研究し、いよいよ電話が完成する。王様は大変喜び、自身の娘と電話大臣の息子とを結婚させるよう命じる。2人はどうやら相思相愛のようだ。
ところが、電話は一向につながらず、聞こえてくるのは雑音ばかり。電話の実験は失敗に終わったのだ。王様は激怒し、2人を無理やり引き離してしまう。電話大臣とその息子は、調査団として電話の先進国である『日本』にはるばる旅に出る事になった。
そして実写パートが始まる。実写の女性が登場し、ミュージカル調に歌いながら電話の『三つの音』について小人達、そして観客達に説明する。
ここからの小人はフライシャーの『インク壺』のような実写合成スタイルで登場し、電話局のおじさんと共に電話の仕組み、マナーについて学習していく。
電話についてしっかり理解した小人達は、意気揚々と自身の国へ帰っていった。
一方小人の国では、愛する電話大臣の息子に会えない姫が、日に日に体調を悪くしていた。王様は姫の体調を心配し、国中に静かにするよう命じたそんな時、調査団が帰ってきたのだ。姫は大変喜び、先程までの病状が嘘のように回復する。
そしていよいよ二度目の電話実験。調査のかいあって、ついに実験は成功した。2人は電話を通じて、お互いの名前を呼び続けるのであった。
関わっていたスタッフの豪華さから、さぞ本編も豪華爛漫なのだろうと期待していたのだが、作画自体は50年代アニメにしてはいささか物足りない感じだった。動きやデッサンはぎこちなく、枚数もかなり抑えている印象を受ける。予算の関係でかなりエコノミーに作っていたのだろうか。
1950年代のPRアニメ作品を観るのはこれが二度目だが(一度目は『ガリヴァー奮闘記』)、その時代特有の空気感やクリエイターの息遣いを感じる事ができ、とても興味深い作品だった。見る機会があれば、何度となく観てみたい作品である。
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