公開年:1955年
評価点:★5
素朴かつ抒情的。伝説のおとぎプロ第一作
2018年2月4日に『発掘された映画たち2018』にて上映された幻のアニメ映画。カラーで制作された23分の中篇である。
この作品は、後に『ひょうたんすずめ』『おとぎマンガカレンダー』『五万匹』等数々の実験アニメを制作する事となり、日本アニメ界の重鎮である山本暎一氏や鈴木伸一氏らを輩出した『おとぎプロ』の第一作である。後にTCJ(現在のエイケン)により72年にテレビアニメ化されるが、こちらには「むかしばなし制作」を除いておとぎプロは関わっていない様子。(横山氏は原作・監修としてクレジット)
一見素朴に見えて実はモダンでハイセンス、かつシニカルな作風を得意とするおとぎプロだが、第一作であるこの作品では『素朴』な雰囲気がかなり押し出された作風となっている。後の『まんが日本昔ばなし』にも通じる抒情的で手作り感の溢れる作品だった…という表現が適しているだろうか。
またフジ・イーストマン・アンスコと三種類のカラーフィルムをシーン別にミックスして制作されていた事で、シーン毎に色合いがかなり変わっていたのもなかなか興味深かった。
フィルムの状態は残念ながら決して良好とは言い難く、修復が望まれる。機会があればまた見返したい作品である。
(『発掘された映画たち2018』にて上映)
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