2018年11月16日金曜日

An Elephant Never Forgets

監督:デイヴ・フライシャー
公開日:1935年1月2日
評価:★5

ゾウは決して忘れない…?


『カラー・クラシック』第3作。
作画チーフはシーモア・ネイテルとローランド・クランドルで、どちらもフライシャー作品ではお馴染みのベテランアニメーターであり、『ベティ』『ポパイ』など数多くの作品に携わっている。

舞台はジャングルにある動物学校。楽しそうに登校する動物たちの中でもひと際目立つのが、低い声で歌いながらスキップするゾウと泥まみれになって歩くブタ、そしてカタツムリよりもゆっくり歩くカバの三匹である。ゾウが学校に着くと、さっそく彼はゴリラにいじめられてしまう。怒ったゾウは「ゾウは絶対に忘れないぞ」と呟くのだった。そんな騒動をよそに、ダチョウの先生が授業を始める。ここからこの作品のテーマ曲が始まり、歌に合わせて先生が問題を出すのだが、誰も質問に答える事ができない。
そんな生徒たちを見てゾウは「僕は絶対に忘れない」と自慢するのだが、いざ自分が当てられると何も答えることができない。みんなはゾウを指さし大笑い。
こうして授業がひと段落すると、次の時間はテストである。先生に代わってカメがテストの指示をするのだが、カンニングが行われたり教科書の投げ合いが始まったりともう教室はめちゃくちゃ。ところが先生が戻ってくると教室はすぐ静かになった。騒動に気付かない先生が帰宅の指示を出すと、動物たちは一斉に下校する。校舎の前でずっと眠っていたカバが、下校時間になったとわかるやいなや猛スピードで下校を始めるというギャグが面白い。
ゴリラとゾウもスキップしながら下校するのだが…。ゴリラがゾウの腰を蹴ると、なぜかゴリラは猛烈に痛がる。なんとゾウの腰には洗濯板が入っていたのだ。ゾウは学校でいじめられた事を決して忘れておらず、見事に復讐したというカタルシスを感じるオチで物語は終わる。

本作は2色式テクニカラーで製作されており、しかも現存するプリントの状態も決して良くないため、色彩は正直言って微妙である。それよりも、冒頭で使用されるステレオプティカル・プロセスが独自の輝きを放っている。「カラー・クラシック」の最大の魅力は、こうしたセットバック撮影をふんだんに用いていることだろう。また、サミー・ティンバーグによる快活な音楽も魅力的である。
本作はフライシャー・スタジオとしては1935年に公開された初めての作品であり、この年辺りからスタジオの作風はディズニーの影響を受けたより穏当なものに変化していく。
そうした流れは本作の欠点からも読み取れる。キャラクターデザインは従来の『フライシャー・スタイル』とでも言うべき奇妙なデザインを踏襲しているが、物語やギャグから独特のアクや毒っ気が消え、完全に子供向けな作品になってしまっているのだ。
楽しめない事はないが、少し消化不足の感がある惜しい作品である。



※収録DVD:Max Fleischer's Color Classics: Somewhere in Dreamland
(上記のDVDだが、残念ながら本作にて音ズレが発生している。音質もあまり良くないため、その辺りを気にされる方は注意した方が良いかもしれない)

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