2018年6月1日金曜日

The Bum Bandit(ビン坊の列車強盗)

監督:デイヴ・フライシャー
公開日:1931年4月3日
評価:★6

ビン坊がベティ扮する謎の女と対決


『トーカートゥーン』第19作、ベティ・ブープが登場する4番目の作品。作画はフライシャー・スタジオの大黒柱的な存在であるウィラード・ボウスキーと、オット・メスマーのスタジオ出身であり後にフェイマス・スタジオでも活躍するアル・ユーグスター。お馴染みの面々である。

指名手配犯の悪漢ビン坊が列車強盗を企むが、謎の女に作戦を邪魔される。『危険なナン・マグルー』と名乗る彼女は実はビン坊の妻だった。ビン坊は彼女の腕っぷしに敵わず、コテンパンにやられてしまう。ナンはビン坊を尻に敷き、列車を乗っ取ってはるか遠くへと旅するのだった。
相変わらず愉快ではあるのだが、フライシャーお得意のシュールなギャグが少なく、傑作・問題作揃いの『トーカートゥーン』シリーズの中では少し平凡な印象を受ける。
とはいえ『銃』が煙草を嗜んだり、『右に』銃を撃ったのに『空から』牛が落ちてくるといった優れたギャグも幾つかあり、相応に楽しめる作品ではある。機関車がゴム紐のように動く、といった暴走気味のアニメーションは流石はフライシャーと言うべきか。

この作品で何より目を引くのはヒロインであるナンシー・マグルー、つまりベティの声である。
ベティ・ブープの声と言えば一般的にヘレン・ケイン風の甲高い声が定着しているが、今回のベティはあの声とは全く異なる、普通の成人女性の声で登場する。これはこれで色気があって悪くないのだが、流石にキャラクターのイメージと合致しなかったからかこのボイスのベティはこの作品一回きりの登場となっている。

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