2018年3月28日水曜日

Bimbo’s Initiation(ビン坊の結社加盟)

監督:デイヴ・フライシャー
公開日:1931年7月24日
評価:★9

ダークでコミカル。悪夢のような世紀の大傑作


『Talkartoon』第24作となるこの作品は、アニメ史に残る大傑作となった。
まず、この短編は今までデザインが不安定だったビン坊が最終デザインに改訂されてから二作目にあたる作品となっている。より『犬』としての個性が追加されたビン坊に与えられたのは、悲惨でハチャメチャな―それでいてハチャメチャに面白い短編作品の主演だった。
この作品が製作された1931年というのは、ちょうど狂乱のジャズ・エイジが終わりを告げ、大恐慌時代に突入した頃である。そんなダークで重苦しい時代の空気と、フライシャーの持つ軽快かつシュールな作風は見事に溶け合ったのだ。

ストーリーは例によってあってないような物。(…でそれがまた良い味を出しているのだ。)
街を歩くビンボーは、謎のミッキーもどきのネズミによって地下深くに落とされてしまう。やっとの事で着地した彼が目にしたのは、怪しげな秘密結社の集団であった!何度も『Wanna be a Member?』(メンバーにならないか?)とビン坊に問うメンバー達。ビン坊は毎回『やだ!』と叫ぶが、そのたびに酷い目に遭ってしまう。刃物付きの天井が迫ってきたり、セメントのような固いプールに飛び込んでしまったり…。

このビン坊が災難に遭うシーンの作画が実に素晴らしい。ノリの良いBGM『タイガー・ラグ』に合わせて、ハイテンポで背景動画付きの凄まじいギャグが展開されていく。
次々に振り下ろされる斧を避けながら通路を進むと、自分の腰を叩いてくるらせん階段に追われる。かと思えば刃物で自分の影の首をちょん切られ、挙句の果てにはノコギリのような扉が襲ってくる…!
ビン坊ついに疲れ果て座り込むと、そこにいたのはなんとベティだった。(このベティはまだ最終デザインになっておらず、犬のような風貌になっている)
グニャグニャした奇妙な踊りを披露する犬ベティ。ビン坊も思わずニヤニヤし始める。
ここで先程の『Wanna be a Member?』(メンバーにならないか?)がまた登場。色気に負けてビン坊思わず「イエス!」
すると秘密結社のメンバーたちはなんと全員ベティになり、みんなで歌えや踊れや…といった調子で物語は終了する。

この作品、文章では到底言い表す事の出来ない狂気に満ちた代物である。まさに30年代前半におけるクラシック・カートゥーンのお手本のような作品。一度観てみたら、きっとそのコミカルでダークな雰囲気に魅了される事は間違いないだろう。



※収録DVD:Betty Boop: The Essential Collection, Vol.2

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