2018年3月3日土曜日

Betty Boop's Penthouse(ベティの屋上庭園)

監督:デイヴ・フライシャー
公開日:1933年3月10日
評価:★8

初期フライシャーの魅力が詰まった珠玉の一篇



ジャズエイジの影響が色濃く残る初期ベティ物としては、1933年制作と比較的後期にあたる作品。この年を境に、ベティ作品からは性的な魅力やドラッギーな表現が影を潜めていき、次第に穏当な作風へと変化していく事となる。
しかし、まだこの『Betty Boop's Penthouse』ではその変化の兆候など微塵も感じる事はできない。全盛期を迎えていたベティの魅力を存分に味わう事ができるのだ。

まず作品が始まると、奇妙な建物が我々の目を引く。『ビンボーの実験室』という看板が掲げられたその怪しい建物では、何やらビンボーとココが怪しげな実験を行っていた。
この一連のギャグにおいては、初期フライシャーが得意とした『メタモルフォーゼ』が上手く活用され、なかなか魅力的なシークエンスとなっている。


彼らがふと窓を見ると、そこにいるのはお馴染みベティ。
水着を着て土いじりをするそのセクシーなアニメーションは非常に魅力的である。(こんなベティのセクシーな魅力も、あと数作もすると徐々に影を潜めてしまうのだが…)

そんなベティに見とれてしまった二人。すると彼らが放置した薬が巨大な化け物に変化してしまう。BGMもスウィンギーなジャズに変わり、ベティを襲おうとする化け物が迫力ある構図で描かれる。
異変に気付いたベティがとっさに香水を化け物に吹っ掛けと、化け物はロトスコープを用いて作画されたリアルなダンスを踊り始め、終いには乙女のような「花」になってしまう。

この作品には特別映えるギャグ、抜きんでた魅力という物は見当たらない。だが、作品から終始漂うジャジーな雰囲気、ベティのセクシーさ、フライシャーお得意の変幻自在なアニメーションはまさに模範的なフライシャー作品とも言うべき魅力を放っている。



※収録DVD:Betty Boop: The Essential Collection, Vol.1

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