2018年1月31日水曜日

Swing You Sinners!(お化オン・パレード)

監督:デイヴ・フライシャー
公開日:1930年9月24日
評価点:★9

フライシャー兄弟がトーキー初期に生み出したドラッギーな傑作


この作品は、フライシャー兄弟がトーキーを売りにして発表した新シリーズ『Talkartoon』の9作目(10作目との説もあり)として1930年に公開された。
この作品に登場する、後にベティ作品の名脇役となるビンボーはまだそのデザインが確定しておらず、テッド・シアーズとウィラード・ボウスキーが手がけた作品のアニメーション自体も不安定なものだった。
だが、この作品が持つ創造性やその自由度の高く狂気に満ちたシークエンスの数々は、今でも我々を恐怖に怯えさせ、かつ興奮させてくれる。

ストーリーは他の同時期の短編と同じく単純で、ニワトリを盗もうとしたビンボーが警官に追われ、逃げ込んだ墓地や廃屋でお化けによって大変な騒ぎにあうというものである。
とにかくジャズエイジの香り漂うノリノリのジャズと怪奇趣味が見事に融合しており、そのブラックで底抜けにグルーヴ感溢れる空気感は同時期の作品を圧倒しているといえよう。
特に後半の、ジャズナンバー『Sing you sinners』に合わせて踊りだすお化け達は、ひたすら狂騒的で突拍子もなく、そして何より楽しい。

(タイトルの元ネタであり、作品後半のBGMとして用いられるジャズナンバー『Sing you sinners』。同年公開の映画『Honey』の挿入歌として用いられヒットした。)

とにかく一度見てみよう。
そこには言葉で言い表せない狂気と興奮の世界が待っている。

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